エクイティを理解する
通院先の病院の待合室で、ポーカー本を読書していると、ふと新しい企画を始めていきたいと思い立ち、 久しぶりにブログを更新してみました。 なぜ、YouTubeではなくブログかと申しますと、コンテンツにしたい内容が非常にニッチな内容だというのが理由になります。ニッチなチャンネルの癖にさらにニッチな内容を話したところで空振りに終わるのも悲しいです。だからといってコンテンツにしないのもどうかと思い、一層の事無料でもいいのでブログ上で自分の勉強したことをアウトプットしていこうという次第に至りました(僕の得意技です)。そんなこんなで企画名を考えてみました。新しい企画名は「ポーカー学」です。 たいそう偉そうに付けた名前と言われてしまいそうな企画ですが、 「ポーカーをより学問的により知的に」という願いのもと付けた名前です。いつか日本の大学でポーカー学という学問が成立する日が来ることを妄想しながらブログを書いていきたいと思います。
さて、そんなポーカー学の第一回目の講義は「エクイティ」です。ポーカー中級者なら一度は聞いたことがあるような単語ですが、知っているようであまり理解できていないような人が大半だと思います。なので今回はそんなもやもやした頭の中をすっきりできるようにするのが目的です。是非、最後まで読んでいただけると幸いです。
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目次
1. エクイティとは何か
2. エクイティの例
3. エクイティのパーセンテージはどこから来るのか
4. 「エクイティが高い=いいハンド」ではない
5. ハンドシグナル
1. エクイティとは何か
エクイティとは、あるハンドの、あるスポットにおける勝利するオッズに基づいた、あなたのポットのシェア分です。
つまり、あなたが60%のチャンスで勝つとすると、あなたは60%のエクイティがあると言えます。非常にシンプルです。
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2. エクイティの例
例えば、プリフロップにてあなたはA♦K♦を持っており、相手がJ♡T♠を持っていると分かっているとし、ポットが$30だとします。オッズ計算機によると、あなたの勝率は65%でした。したがって、あなたのエクイティは$30の65%で、$19.5となります。
このエクイティは、すべてのストリートで一定というわけではございません。なぜなら、新たにカードがディールされるとハンドの強さやポテンシャルが変わるからです。したがって、それぞれのプレイヤー毎にエクイティは変わるのです。
もしフロップのカードがJ♢T♣2♡だった場合、エクイティは劇的に変化し、あなたがポットを獲得できるような状況はほとんどなくなります。オッズ計算機によると勝率は22%。つまり、ポットの22%しかエクイティはありません。
さらに、ターンのカードがQ♠であった場合、あなたはストレートを完成し、リバーまでにあなたが勝利するオッズ(勝率)は急激に上昇します。オッズ計算機によるとあなたの勝率は91%となり、相手はリバーでJかTが落ち、フルハウスになる以外に勝利は見込めません。
3. エクイティのパーセンテージはどこから来るのか
では、エクイティのパーセンテージはどうやって求めているのでしょうか。上記のパーセンテージは、コンピュータがそれぞれのハンドの状況毎に繰り返し計算してくれることによって算出されます。したがって、特定のコンボ数をオッズ計算機に代入し、計算してやると、計算機は残りのカードを何千回も回し、それぞれのハンドが勝つ頻度を計算するのです。ある状況では、勝率とエクイティは同義になります。
私がお勧めするオッズ計算機は以下になります。
Odds Calculator for Pokerはスマホアプリなので、外出中も気になるプレイを解析できます。とても便利です。また、EquilabはPCアプリですが、多くのポーカープロが利用しております。Equilabの使い方は以下の動画をご参考ください。
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4. 「エクイティが高い=いいハンド」ではない
ベーシックな話を終え、ようやく本題に入っていきたいと思います。上述では、あたかもエクイティがポーカーをやるうえで最も大切なように紹介していますが、実はそういうわけではありません。事実、私もポーカーを勉強し始めた頃は、ハンドのエクイティばかり気にしていました。しかし、ポーカーはそんな簡単な代物ではありません。エクイティが高いハンドと低いハンドを比較すると、エクイティが高いハンドが必ずしもいいハンド、または収益性の高いハンドというわけではない状況が存在するのです。
具体例を示します。合理的な相手が、ミドルポジションからオープンしてきたとします。BTNのあなたまでフォールドで回ってきたとき、あなたはハンドA♡9♢と9♡8♡のどちらでコールする方が適切でしょうか。答えは、エクイティが低い後者です。それではなぜエクイティが低いハンドでコールを選択するのでしょうか。その理由を解説していきます。
A9oでコールしない理由
A9oでコールしない理由は3つあります。1つ目の理由は、A9oが相手のチェック-フォールドレンジに対し強すぎるからです。すなわち、ポストフロップでベットしたところで相手のより弱いハンドすべてはフォールドされてしまい、勝率(エクイティ)が実現せずに終わってしまうのです。そして、2つ目の理由は、A9oが相手のバリューベットレンジのハンドに勝てないからです。そのうえ、負けているとき後続のストリートでインプルーブする可能性は極端に低いです。3つ目の理由は、もしA9oがペアを形成し、相手がチェックを選択したとき、相手がより弱いハンドで後続のストリートまでチェックコールをしてくれる可能性が低いということです。
98sでコールする理由
もちろん、98sはフロップで相手がバリューベットするような強いハンドに勝てるハンドをフロップで形成する可能性は低いものの、フラッシュドローやストレートドロー、もしくは5枚のアウツを持つペアを形成する可能性があります。これらのハンドは相手のバリューベットレンジやチェック-コールレンジに含まれる強いハンドに勝てるポテンシャルを持っています。さらに、98sはエクイティを効率よく使っています。例えば、 98sでフロップでドローを形成したものの、強いハンドに発展しなかったとしても、相手がチェックをした場合、すかさずセミブラフをすることができます。ターンでチェックコールされたとしてもまだアウツが生きているのです。このように、スーテッドコネクターはたとえ強いハンドを形成しなかったとしても代わりにブラフとして代用でき、より強いハンドをフォールドさせられるだけでなく、エクイティを浪費しない優れモノなのです。
5. ハンドシグナル
次に、エクイティをより理解するために、ハンドシグナルに触れていきます。あまり聞きなれない言葉ですが、ポーカーの本質を理解する上で大事な概念になりますので、是非理解したいところです。
ハンドシグナルとは、リバーまでにベストハンドを作るために次にボードに配られるカードを見るべきかをカード自身が知らせてくれることであります。例えば、スーテッドコネクターでフロップを見たとき、ベストハンドを作るために次にあなたがするべきことは想像つくでしょうし、フロップでペアやフラッシュドロー、ストレートドロー、バックドアドローになればターンカードを見たくなるものです。
その一方で、フロップで効果的にコールをしたり、相手を打ち負かすようなチャンスがないハンドもあります。これは、よく弱いポケットペアで起こります。もし相手がベットした場合、弱いポケットペアはブラフにしか勝てないうえに、コールを正当化するほどアウツがなく、大抵の場合はフォールドすることになります。フロップでポケットペアがリバーまでにインプルーブする確率が約10%あるという事実があるにも関わらず、セットマインのためにチップを投資する気が起こるほど十分なエクイティがあるわけではないのです。
ハンドシグナルの具体例
具体例を示します。BTNにいるあなたはミドルポジションからのオープンにコールを選択しました。フロップのカードは、K♠7♣3♡です。6♢6♠と9♡8♡はトップペアに対して、同じ約10%のエクイティがあるにも関わらず、 9♡8♡ でのコールは 6♢6♠ でのコールに比べ、よいプレイとされるのです。なぜなら、 9♡8♡ の場合は、フラッシュドロー、ストレートドロー、5枚がアウツのペアになるカードがデッキの中に22枚もあるからです。22枚のうち1枚がターンで落ちた場合(それは、46.8%の確率で起こること)、リバーでベストハンドを完成させられるようにターンで再びコールすることもできますし、インプルーブしなかったとしても相手がチェックをした場合は、ブラフをすることも可能です。一方、 6♢6♠ はセットを完成しない限り、ベットに対してフォールドせざるを得ないでしょう。たとえ、6がリバーで落ちる予定だったとしても、リバーまで付いていかなければ意味がありません。よって、この状況においては、9♡8♡ は6♢6♠ よりも優れていると言えるのです。