バリューベットとブラフのグレーゾーン
複雑な状況を過剰にシンプルなモデルに変換し、1か0かのバイナリーモデルにすることは物事を簡単に理解するためによく用いられる方法論です。しかし、便利がゆえに、シンプル化をやりすぎないことに注意しなければなりません。これはポーカーの世界でも同様で、ポーカーでは、フロップやターンベットの際、バリューベットとブラフの間にこの概念がはっきりと出現します。特に、フロップにおけるベットは、バリューベットとブラフの特性を両方併せ持つことが頻繁に発生するのです。
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目次
1. バリューベットとブラフのグレーゾーン
2. 状況の複雑性
1. バリューベットとブラフのグレーゾーン
例えば、あなたはMPからT♠9♠でオープンし、BTNがコールしたとします。もしフロップが9♢4♡2♠が落ち、あなたがベットをしたとしたら、このベットはバリューベットなのでしょうか、それともブラフなのでしょうか。 恐らく相手はAK,AQ,98s,88,77でコールし、もしターンとリバーでチェックスルーした場合は、ショーダウンで勝てるでしょう。あなたは、より弱いハンドからバリューを搾取できるので、このベットはバリューベットと考えるかもしれません。しかし、AJやKQのようなエクイティが24%以上のハンドをフォールドさせられることを考えるとブラフととらえることもできます。特に、残りのストリートが2つ残っており、スタックが深く、相手がポジションを持っていた場合、尚更です。事実、この状況で2オーバーのハンドを降ろしておくのは、とても望ましいことです。
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2. 状況の複雑性
理論を理解する前に、「この状況はどれほど複雑なのか?」といった問いを考えてみましょう。あなたは、より弱いハンドからコールされ、かつ相手に無料でカードを見せないようにバリューベットをしています。しかし、これは過剰に状況をシンプル化しています。フロップでベットをすることは、いくつかの重要な結果を引き起こしていることを理解することが大切です。その結果は以下になります。
- ベットをすることで相手のレンジをより強くしている。
- ベットすることでポットを大きくしている。
- 2つのストリートが残っているので、レイズされるリスクがある。
また、いくつかの疑問が出てきます。
- たとえフロップをリードできたとしても、ターンやリバーでバリューを搾取することはできるのか。
- もしターンでチェックしなければならない状況に陥り、大きいポットでOOPからプレイすることに繋がったとしても、フロップのベットは、バリューベットと言えるのでしょうか。
フロップベットに対し、ひとたび相手がコールをすれば、あなたは勝率を実現することが非常に難しくなってしまうので、この状況は、そう単純ではないのです。
さらにいうと、一般的に、 リバーを除いたストリートで バリューベットとブラフという言葉を使用することは正しくありません。なぜなら、常に追加のカードがボードに落ち、弱いハンドが強いハンドにインプルーブすることがあるためです。また、すべてのバリューハンドはエクイティを持つので、チョップを除き、ショーダウンで勝敗がついてしまいます。例えば、COのオープンに対し、あなたがAAあるいはAKでBTNから3ベットをしたとします。ほとんどのプレイヤーがこのアクションはバリューレイズというでしょう。なぜなら、相手はTTやAQのようなドミネイトされているハンドでコールすることが多いからです。しかし、AAとAKの強さは大きく異なります。当然、AAの方がAKよりも高い勝率を持ちます。つまり、これらのハンドをバリュー3ベットと称してしまうのはいささか過剰にシンプル化してしまっているのです。しかし、議論や分析をするうえでは必要な作業でもあるのです。
同様にブラフもリバーまでにベストハンドとなる可能性はそれぞれのハンドによって異なります。例えば、 J♢6♡2♢のボードで、あなたが5♡4♡でレイズしたとします。ガットショットストレートドローと、バックドアフラッシュドローを兼ね備えているため、ターンやリバーでインプルーブする可能性があり、ベストハンドを完成するかもしれません。しかし、ガットショットドローがあるわけでもない、エクイティのより低い9♡7♡でも同様のブラフレイズをすることがあります。要するに、両ハンドは、一方がインプルーブしにくいという事実があるにも関わらず、ブラフレイズし、より強いハンドをフォールドさせることが合理的だと言えるのです。
あなたのポーカーキャリアで、このような完璧でない言葉が使われ続けますが、強いポーカー理論を構築していればあまり問題にはなりません。完璧でない言葉を使いつづけるのは理想的ではございませんが、その他の選択肢はなく、言葉の意味は文脈で理解する必要があるのです。